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ヤーコン栽培の年間スケジュール(新版) [ 年間スケジュール]

<ヤーコンの概要>
 晩秋には人の背丈ほどに生長するヤーコンです。DSCN0233.JPG
 葉っぱは糖の吸収抑制作用があり、また、インスリン様作用もあって、高血糖の改善に効果が高いです。乾燥させてお茶として使うと良いです。
 地下の芋はオリゴ糖たっぷりで、整腸作用が抜群です。低カロリーですからダイエット効果が期待できますし、糖尿病の養生食に最適です。
 栽培はいたって簡単ですが、芋の収穫量を上げるにはそれなりの工夫が必要です。
 最大のポイントは牛糞堆肥をたっぷり入れること。
 なお、種芋になる部分は、地面に隠れて見えませんが(右の写真は2013年11月24日、畑で土をのけて撮影)、茎の直ぐ下、食用部芋(さつまいもの形のもの)との間にある塊茎です。それを切り分けて種芋とし、植え付けます。
(品種は「アンデスの雪」で、芋の表皮は薄茶色)

ヤーコン栽培の年間スケジュール(新版)
(2015年5月14日作成)
(2017年3月5日、2018年3月30日、2022年3月22日一部改訂)

 当地は、岐阜市近郊、濃尾平野の一画にあり、海抜10メートルの沖積層の土壌です。
 3月下旬からヤーコンの作付け準備に取り掛からねばなりません。
 うちでは約100㎡(概ね10m×10m)の区画に7畝(2016年から6畝、2019年から5畝へと順次縮小し、現在は約70㎡)を作付けし、例年11月末から1畝ずつ順次掘り始め、3月中頃に最終収穫しています。
 そして、2月までに掘ったヤーコンの種芋(凸凹した塊:塊茎)は、その都度1か所に集めて土を掛け、春の苗作りに向けて畑で保存しています。
 1株の塊茎から10~20個程度の種芋が作れますから、通常は全部を保存する必要はないですが、ヤーコンを普及させたく、切り分け種芋やポット苗をたくさん作り、皆さんに差し上げることにしていますから、基本的に捨てることはしません。

 うちの2014年度までのヤーコンの栽培方法は下記の記事で紹介しています。
   ヤーコン栽培年間スケジュール(旧版)
 これは、通常の農法によるもので、基本は里芋と同じです。ただし、ヤーコンは暑さに弱いですし、湿り気にも弱いですから、それなりの対応が求められます。
 ところで、小生は2013年には65歳「高齢者」となり、体力的に自身がなくなってきましたので、軽作業で栽培したく、2015年度からは自然農法を可能な限り取り入れようと考えました。つまり、土をあまりいじらず、雑草と共生させる、というものです。
 よって、従前とは畝立ての方法や定植の位置を変え、施肥も定植前に全部済ませ、その後の土寄せを止めることとしました。それを頭に置いて栽培スケジュールを立て直しました。
 2015年度はこれで大成功し、2016年度も同様でしたので、今後は改定新版で栽培することにした次第です。
 さらに2018年からは無肥料連作栽培に取り組んでいるのですが、これはなかなかうまくいかず、あれこれ試行錯誤中です。これについては、ページ末で示し、以下の栽培スケジュールは牛糞堆肥を主として使う農法について述べます。 

*3月下旬:冬越しさせたものを最終収穫
    上部の凸凹した塊(塊茎)が種芋で、下部は食用芋です。
ヤーコン種芋イラスト.jpg
DSCN0236.JPG

(写真:2013年11月24日撮影)
  下部の食用部を千切り取ったあとの種芋部分(塊茎)です。小さい丸で囲った種芋は小さすぎるので捨てます。中ぐらいの丸で囲った種芋はちょうど良いです。下側に大きな塊になっているものは切り分けて種芋にします。

*種芋の塊を10~20グラム程度に切り分け
 1株から種芋が10~20個取れます。
 「アンデスの雪」の場合は、種芋を10~20グラム程度に切り分けるのがベストで、5グラム程度ですと収穫量が落ちる感がします。一方、「アンデスの乙女」は種芋が5グラム程度でも十分に収穫が望めます。
 こぶし大という巨大な種芋を直植えする方法もありますが、「アンデスの雪」はこれでうまくいくも、「アンデスの乙女」は、収穫時に種芋が巨大となり、食用部芋の生育が貧弱となりますから、「アンデスの乙女」は小さな種芋にすべきです。
 なお、冬越しさせたものを放置しておくと、4月には芽が地上に出て、バラバラに分かれ、それを苗にできますが、芽吹いた種芋があまりに小さい場合は収穫量が落ちるように思われます。ただし、「アンデスの乙女」の場合は、これであっても収穫は十分望めます。

*切り分けた種芋を2、3日陰干し
 切り口に藁灰や草木灰を振っておくと腐り防止になり、また、ミネラル補給にもなり、成育が良い感がします。もっとも、何も施さなくても種芋が腐ることはまずありません。
 芽が伸びすぎているものは、切り分け作業中に傷が付くことが多く、綺麗な成長が期待できそうにありませんから、欠き取っています。別の箇所から新たに綺麗な芽が出ますから心配ないです。

*苗床(露天)に埋め込み
 台形の畝を立て、無肥料でよいです。降雨直後で湿りすぎている土ですと種芋が腐る恐れがあり、土が少し乾いてからのほうがいいようです。
 ポット苗にするときは、かすかな芽吹きで掘り出しますから、ビッシリ芋を並べて、土を2cm程度かけます。苗床から直接定植する場合は、芽がある程度伸びてからの移植となり、根がだいぶ張ってきますから、数センチの間隔が必要になりましょう。
 水やりは、あまりしなくて良いです。
 種芋の数が少なければ、穴を十分に空けた発泡スチロール箱でいいです。
 なお、2010年、2011年は、4月の異常低温で発芽が遅れましたし、一部(といっても1割以下)の種芋が凍みて発芽しませんでした。露地育苗では遅霜に注意。氷点下になると種芋が凍みて全滅の恐れがあります。
 霜が降りなくても冷え込みが予想されるときは、夜間ムシロなどで覆うと発芽が早まりますし、凍みる種芋も少なくなります。
 うちでは、2017年からムシロの上にビニールシートを被せ、暖かくなり冷え込みが弱くなったら外しています。降雨による水浸しで種芋が腐ることもあり、ビニールシートはこれも防げますから、これでもって発芽率がほぼ100%になりました。
 また、ビニールトンネルでの育苗が良いようですが、2012年は急に暑くなった日にビニールシートを覆いっ放しにしておいたら、芽がゆだって溶けてしまい、逆に失敗しました。この点は里芋と大違いです。暑さにも弱いヤーコンです。
 冷涼地では早期育成が収穫量を上げるコツとのことで、ビニールトンネルさらにはハウス育苗がおすすめです。寒冷地では、収穫時期が早まりますから、より早期育成が肝腎となり、温室での育苗が必須のようです。

*苗に芽が複数出たら芽掻きし、1本立てに
 苗の段階で主茎が1本ですと、太く高く生長するようですし、収穫量が上がると思われ、複数の芽が出た場合は芽欠きしています。
 うちでは、ビニールポット苗にして育苗しています。(ポットは小でよい。)
 よって、苗床で全体の1~2%が地表に芽吹きかけたら、全部掘り出し、ポット苗にします。そのとき、たいてい幾つも芽が出ていますから、一番軸太の元気のいい芽だけ残して1本立てにしています。
 1本立てにしたポット苗でも育苗段階で複数の芽が生長することがあり、その場合は早めに芽欠きしています。
 苗のうち1割弱は綺麗な葉が出なかったり、ちっとも大きくならないものが生じます。これらは定植しても収穫量も落ちると思われますので処分しています。
 育苗管理は、毎日の水やりが欠かせません。
DSCN0390.JPG

*4月下旬:高畝づくり
 畝幅は150cmとしました。これ以上狭くすると、何本も出る脇枝がために通路がふさがって風通しが悪くなり、収穫量が落ちると思われます。過去の経験では、畝幅を180cmと大きく取っても、逆に120cmと狭くしても、単位面積当たりの収穫量は変わらなかったです。
 うちの畑は若干湿り気が多い土質ですので、高畝にしています。これは、秋に湿り気が多いと、種芋が大きくなり過ぎてしまって、肝腎の食用部の成長があまり進まないからです。
(注)水はけが良すぎると、真夏の長期雨なし日照りで、枯れる恐れがあります。枯れ具合は里芋と同程度かと思われますが、里芋より若干丈夫のように思います。
 なお、うちではずっと連作しており、前年の畝間を今年の畝にするようにします。こうすると、前年に繁茂した雑草が堆肥化され、肥料の節約にもなりましょう。
 肥料は、高畝作りをするときに、牛糞堆肥以外は全部入れ込みます。うちが使うのは、苦土石灰、種粕、鶏糞を適当な量、そしてここの畑で生じた野菜の残骸や柳の木の枝などを燃やした草木灰(近年は住宅が立ち込み野焼きできなくなりました)です。化成肥料は使っていません。
 なお、ヤーコン栽培には、特に連作する場合、牛糞堆肥がベストと聞いていますので、これは定植時に定植穴を大きく空け、たっぷり入れることにしています。

*5月中旬:畑に定植&施肥
 苗の背丈が5cmになれば定植してよいです。
 株間は60cmは取りたいです。これ以上に密植すると1株当たりの収穫量が落ちます。
 生長の悪いものがあったり、ネキリムシに株元を食いちぎられることがありますから、予備苗を1割程度、畝の法面にでも植えておくとよいです。
 ヤーコン苗の定植穴を大きめに掘り、牛糞堆肥をなるべく量多く(少なくとも2リットル:多ければ多いほど高収穫になる感がします)入れ、土とよく混ぜてから苗を植え付け。

*6月:苗の手入れ
 苗が1本立てであっても、後から新芽が種芋の別の箇所から伸びてきて複数立てになることがありますが、以前は芽欠きしていたものの、これをしなくても十分に収穫量は期待でき、最近は放任しています。
 なお、成育が進めば、主茎の近くから脇芽がどんどん出だします。最終的に10本以上の脇枝が生長しますが、これは芋の成育に欠かせないものです。
<食べられる葉と茎>
 芽欠きした葉と茎は、あまりうまくないですが、味噌和えや佃煮にして食べられます。
 ただし、そのまま使うと苦味が強く、ゆでた後で2、3時間水にさらすと良いです。葉っぱのお茶より血糖値を下げる効果が大きいです。糖尿病の方におすすめします。ただし、量多く食べると、低血糖になることがあるようです。

*6~7月:畝の法面に枯草などを被せる
 ぐんぐん生長を始め、脇芽がどんどん出ますが、脇芽は放置し、芽欠きしません。
 ここのところは里芋と大きく違います。
<本格的に葉と茎が食べられるようになり、お茶にもできます>
 全体の2割程度の脇枝を取っても芋の収穫量に差は出ないようです。
 畝間や法面に繁茂しだした雑草は伸びるがままにしておきます。
 雑草でヤーコンが隠れそうになってきたら、草刈機でざっと草刈します。
 (うちでは、年に2回ほど草刈する必要があります。)

*梅雨明け後:必要に応じて熱射、乾燥対策
 暑さに弱いヤーコンです。畝の法面に雑草が生えていれば、地温上昇が防げ、ヤーコンへのダメージが随分と減ります。
 雑草の繁茂がなければ、どこかで刈り取った雑草や藁などをたっぷり敷くこととします。その藁や雑草は最終的に堆肥になります。
 雑草は引き続き繁茂しますが、梅雨明け後の猛暑で雑草の方が倒れて、ヤーコンが勝ってしまい、以後の草刈は不用になることでしょう。

*真夏の日照り対応=水やり
 2012年のまれな猛暑のときは、用水路から汲んだ水で何度も水やりをしましたが、これは20数年の栽培歴で1回しかないです。
 水はけが良すぎる畑では、里芋と同様に水やりが必要でしょう。          

*9月:必要に応じて湿気対策、風害対策
 真夏の間は、ヤーコンにとって暑すぎるからでしょう、生長がとんと鈍いですが、朝晩涼しくなった頃からぐんぐん伸び始め、脇芽もどんどん出て伸びます。
 湿り気の多い畑(種芋部分が大きくなりすぎ、食用部の成育が鈍る)は、水はけを良くするために、畝の削り上げを行い、雨水が流れ去りやすくする必要がありますが、当初から高畝にしておけば何もしなくて済みます。
 たびたび強い風害が予想される地域では、背丈が1mほどになるよう、主軸の上部を刈り取っておくと軸折れせず、収穫減を防ぐことができるようです。

*11月下旬以降:順次収穫し、種芋は別途保存
 10月下旬には芋がだいぶ大きくなっていて、一部収穫して良いですが、芋はまだ成長中です。葉の元気さがなくなったら、そろそろ収穫時期です。霜が降りたら、葉が凍みて黒く変色し、もう芋の生長は見込めません。
 食用部はさつまいもの形をした部分です。収穫量は1株当たり3キログラム以上になります。条件が整えば5キログラム程度にもなります。
 痛みやすい芋ですから、長期保管が難しいです。
(写真:上側が「アンデスの雪」、下側が「アンデスの乙女」)
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<大量に収穫したとき>
 収穫後、呼吸が落ち着いてから、さつまいもと同じ方法で貯蔵すればよいとのことです。大きな箱に籾殻を入れて保存しても良いです。新聞紙で囲みこんでもかなり持ちます。乾燥に弱いのがヤーコン芋ですから、こうした保存法を取るのですが、単にダンボール箱に入れておくだけでも冬季は少なくとも1か月は十分にもちます。
 掘らずに冬越しし、3月に収穫した芋を籾殻の中で保存すると5月中旬までは持ちます。2015年産からは、籾殻を入れず、新聞紙でダンボール箱の上下左右を覆う形で乾燥防止し保管していますが、これで5月までは十分な感がします。
 また、2016年3月収穫の大きな芋を4月半ばに1個ずつ新聞紙に包んで冷蔵庫保管したところ、7月までは良かったのですが、それ以降は乾燥してダメになったものが多くなりました。(アンデスの雪はまだ良かったのですが、アンデスの乙女は日持ちが悪かったです。)
 よって、2017年以降は8月以降に食べる分はアンデスの雪だけとし、ビニール袋に入れて冷蔵庫保管することとしています。でも、もって8月末まで。

<種芋(根塊)の保存>
 種芋を畑の一角に積み上げ、土を掛け、ビニールシート(肥料袋でよい)で上部を覆い、雨水が染み込むのを防止し、冬越しさせます。里芋より若干寒さに強いです。なお、雨水が浸み込むと種芋が腐りますから、周りに水が溜まらないよう、水はけを良くしておきます。          

*12月下旬:地上部を刈り取り、畝にシートを掛けて、冬越し
 雪や雨で、芋が凍みることがありますから、必須です。雪が降らない温暖地では土寄せだけで良いようです。こうして、2月、3月にも収穫できるようにしておきます。
 畝間に雑草を繁茂させたために枯れ草がビッシリあり、シート押えの土寄せができず、ヤーコンの残骸などを重しにしただけにしたら、シートが一部分めくれたました。よって、石や瓦をいくつも持ってきて、これでシート押えにしています。
(2013年3月撮影 5畝は収穫済み、残りは2畝)
DSCN0079.JPG
        
備考:連作障害について
 連作は可能ですが、化学肥料栽培だと収穫量が年々落ちます。安定した収穫を得るには、堆肥、特に牛糞堆肥をたっぷり投入し、土壌を肥沃にするのが理想的です。
 うちでは長年連作していますが、牛糞をそうたくさんではありませんが意識して使うようにしており、収穫量は落ちていません。
 なお、ヤーコンの跡にトマトを栽培すると全滅することがあります。ナスも出来が悪くなる傾向にあります。(ヤーコンの根に毒がありそうです。) 

 以上の栽培方法は、当地(濃尾平野の一角で夏は猛暑。やや湿り気のある土壌)での方法で、2015年から少々変えた、当地に最適の栽培法です。
 地域や土壌の違いで、やり方が変わりますから、工夫なさってみてください。
 なお、ヤーコンはまだまだ原種の力を持っていますから、環境適応力が強く、1年目が失敗に終わっても、その地域の気候と土壌を学習し、2年目、3年目と収穫量が上がってきますから、種芋を保存し、あきらめずに栽培を続けてください。
 皆さんのヤーコン栽培の成功をお祈りいたしております。
 そして、隣近所やお友だちに栽培をお勧めしていただき、ヤーコンの輪を広めていきましょう。よろしくお願いします。
 

※2018年産から「無肥料栽培」に挑戦
 雑草と共生させ、牛糞堆肥をメインとする栽培法を確立したものの、その後に各種野菜の「無肥料連作栽培」に取り組むこととし、ヤーコンもそうしました。2018年がその初年度で、この年は残留肥料があって減収しなかったのですが、その後は収穫量が半減し、悪戦苦闘しています。
 ヤーコンの無肥料連作栽培については、別立ての下記ブログで書いています。
 「チャレンジ自然農法」、ヤーコンの連作・無肥料無農薬栽培 
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