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ヤーコン登録4品種に関して種苗法の本格的適用が4月1日から始まったようですが… [ ヤーコンの普及]

 ネットニュースを見て、種苗法の本格的適用が4月1日から始まったようである。なお、種苗法の改正については、ずっと前にあり、2013年4月6日に次のとおり投稿した。 
 ヤーコン新品種の種芋や苗の値段が高い理由が分かりました
 そのときと今回の規制とどう違うのか、それはよく知らないが、今まで法を無視してやっていたが、育成者権の農研機構のサイトをじっくり眺めたところ、困ったことになった。

 先ずは基本的な事柄は次のとおり。
 ヤーコンの次の4つの新品種は農研機構が開発したものであるから、その栽培には種苗法上、原則として農研機構の許諾を必要とする。
 アンデスの乙女(登録年月日2014/2/12  育成者権の満了年月日 2039/2/12) 
 アンデスの雪(登録年月日2005/12/7 育成者権の満了年月日 2030/12/7)  
 サラダオカメ(登録年月日2005/12/7 育成者権の満了年月日 2030/12/7) 
 サラダオトメ(登録年月日2005/1/19 育成者権の満了年月日 2025/1/19)

 で、農研機構のサイトを見てみたら次のようであった。
 農研機構育成の登録品種の自家用の栽培向け増殖に係る許諾手続きについて (農業者向け)
 種苗法の一部改正により、令和4年4月1日以降、許諾を得て登録品種の種苗を生産・販売している種苗業者、生産者団体等(以下「利用許諾権者」とします。)を通じて正当に入手した種苗から得た収穫物を自己の農業経営において更に種苗として利用する行為(農業者が登録品種の種芋、親株や苗木等から採ったツル苗や穂木等を種苗として利用することを含めて、以下「自家用の栽培向け増殖」とします。)は、育成者権者の許諾が必要となります。
 農研機構が単独で育成した登録品種(出願中の品種を含みます。以下同じ)の自家用の栽培向け増殖に係る許諾の手続きは下記のとおりです。
 この許諾は自家用の栽培向け増殖に係るものであり、増殖した種苗の他者への譲渡(有償・無償に関わらず)を許諾するものではありませんのでご注意下さい。

 ということである。どうして、こうした厳しい制度になったかというと、農研機構が次のように説明している。
 農研機構育成の登録品種の自家用の栽培向け増殖に係る許諾手続きに関するよくあるご質問(FAQ)
質問) なぜ農研機構は登録品種全ての自家用の栽培向け増殖を許諾制にするのですか?
回答) 農研機構は、シャインマスカットに代表されるように、長年蓄積した高度な知見に基づいて優良な品種を開発し、普及、利用促進を行っていますが、昨今ではその優良性ゆえ登録品種が海外に流出する事例が発生しております。
 農業者の方に農研機構の品種の価値を最大限享受していただくためには、このような海外流出の防止に的確に対応できる体制作りが必要であると考えるため、種苗法改正の趣旨を踏まえ、登録品種の自家用栽培向け増殖を許諾制とします。

 ということであるが、何もかも一律に厳しくしているものではなく、カテゴリーを4段階に分けて、ヤーコンは一番緩やかな規制(カテゴリー1)となっている。
 農研機構によれば、カテゴリー1は次のとおり。
 許諾条件を遵守することにより自家用の栽培向け増殖の許諾手続きが不要なもの
 稲(飼料用米、WCS※含む)、コムギ、オオムギ、ダイズ、サトウキビ、ソバ、ハトムギ、ゴマ、ナタネ、花き、牧草、トウモロコシ等 別紙 【出願中・登録品種(カテゴリー1のみ)】

 ということであり、ヤーコン4品種はカテゴリー1の表に掲げられているから、許諾手続きは、不要となる。
 ただし、カテゴリー1の表を見てみると、ヤーコンに断り書きが次のように付いている。
 自家用の栽培向け増殖許諾管理 増殖可否・ 許諾手続:個別相談
 ※増殖には注意が必要:令和4年4月1日より前に自家増殖が認められていなかった品種やF1(一代雑種)品種のように収穫物が種苗に適さないものなど、増殖の際に個別に確認が必要なもの
 
 これは、どういう意味なのかよく分からないが、ヤーコン4品種は「増殖の許諾手続きが不要なもの」とされているから、先ずはホッと一安心。
 ところで、「増殖の許諾手続きが不要なもの」であっても、守らねばならない事項がある。農研機構によると、それは次のとおり。

 農研機構が育成した上記の登録品種(カテゴリー1)については、種苗更新を奨励しますが、自己の農業経営で行う農作物の生産を目的にした増殖の場合、品種の特性を損なわないように適切に管理・利用すること等下記【遵守事項】を条件に無償で許諾致します。許諾に伴う手続きは不要ですが、自家用の栽培向け増殖を行った時点で、下記【遵守事項】に同意したものとみなします。
 この許諾は自家用の栽培向け増殖に係るものであり、増殖した種苗の他者への譲渡(有償・無償に関わらず)を許諾するものではありませんのでご注意下さい。
【遵守事項】
① 当該登録品種の種苗を用いて得た収穫物を種苗として有償・無償に関わらず第三者に譲渡しないこと。
② 当該登録品種の種苗を海外に持ち出さないこと。
③ 収穫物や植物体の一部を種苗として用いる際は、当該登録品種の特性を著しく損なうことのないよう、適切な種苗を選別し利用すること。また、利用した種苗によって本登録品種の特性が損なわれる等の問題が発生した場合には、遅滞なく当機構に報告すること。なお、F1品種のように収穫物が種苗に適さないなど、増殖の際に注意が必要なものがありますので個別にご相談ください。
④ 本許諾に基づき準備した種苗のうち自己の農業経営において種苗として用いなかった種苗は、遅滞なく廃棄又は食用とすること。なお、果樹及び茶の場合、剪定枝は焼却等を行い確実に廃棄処分すること。
⑤ 本許諾に関連する書類やほ場について、必要に応じて当機構が調査することを認め協力すること。
⑥ 第三者から本登録品種の種苗を用いて得た収穫物や植物体の一部を種苗として譲り受けたい又は譲渡したい旨の申し出があった場合は、遅滞なくその旨を当機構に報告すること。
⑦ その他本許諾に関係する事項について当機構の指示に従うこと。

 以上のとおりとなっているが、まあ、これは真面目に栽培に取り組んでいれば問題ないということでクリアできよう。

 しかし、小生の場合は、かなり積極的に種芋や苗の無償譲渡を行っているから、問題が生ずる。そこで、農研機構のQ&Aを見てみると、
質問) 無償であれば、自家用の栽培向け増殖を行った種苗を他者へ譲渡できますか?
回答) 自家用の栽培向け増殖を行った種苗を、他者へ種苗として譲渡する場合は、有償・無償に関わらず、別途団体等を通じた利用許諾の契約手続きが必要となります。(下記の品種の利用許諾 HP をご参照ください)
なお、農研機構では、個人の方との利用許諾契約は行っておりませんので、許諾を希望する場合は、団体様の名義で申し込み下さい。

 小生は全くの個人であるゆえ、このQ&Aからして、申し出はできない。よって、栽培したい人に無償譲渡させてもらえないことになってしまう。
 何か抜け道はないか。小生はヤーコン栽培の規模がけっこう大きいが、採れた芋を売る農業者ではない。家で全部は食べきれないから知り合いに差し上げている程度で、家庭菜園での栽培ともいえる。
 で、そうしたQ&Aを見てみると、
質問) 家庭菜園は「自家用の栽培向け増殖」に該当しませんか?
回答) 自ら増殖した種苗や、自ら増殖した種苗から得られた収穫物を他者に種苗として譲渡することがない(有償・無償は問わない)、個人の趣味による栽培や自家消費用の利用は種苗法で制限されておらず、今回お示しした「自家用の栽培向け増殖」にも該当しませんので、許諾は不要です。但し、個人の趣味による栽培や自家消費用の利用において増殖した種苗を他者に譲渡することは育成者権の侵害となります。優良な品種の海外流出につながらないよう、適切な種苗の管理をお願いします。

 家庭菜園であっても、他人に無償譲渡することは「育成者権の侵害となります」とあり、抜け道もなくなってしまう。弱ったことになった。
 加えて、小生が栽培を希望する方に種芋なり苗を差し上げると、受け取った方は「【遵守事項】⑥ 第三者から本登録品種の種苗を用いて得た収穫物や植物体の一部を種苗として譲り受けたい又は譲渡したい旨の申し出があった場合は、遅滞なくその旨を当機構に報告すること。」に従わねばならなくなる。

 小生が毎年差し上げている「アンデスの雪」「アンデスの乙女」ともに、いかんともしがたい情勢になってしまった。
 さ~て、どうするか。このブログそしてホームページで、今まで(今年のゴールデンウイークも)「アンデスの雪・アンデスの乙女の苗を無償提供します」としてきたが、そう書くことはできなくなり、文言を修正せざるを得ないだろう。
 しかし、ヤーコンの普及活動はしたい。もぐりでやる良き方法を見つけ出したいものだ。何か方法はあろうから、よ~く考えてみよう。
 たとえ農研機構に見つかったとしても損害賠償なんてしてこないだろうし、種苗法違反でお縄になることもなかろう。中国や韓国に流出したシャインマスカット問題で法改正があったんだから、今後の類似した事犯を防ぐのが目的なんだし…。
 それを考えれば、ヤーコンの4品種なんて問題外であるのだから。

(6月3日追記)
 無い知恵はいくら絞っても出てこない。よって、ブログやホームページには「ただし、2022年からは種苗法の規制がかかり、登録品種は無償であっても譲渡できなくなりました。」と書き添えるしかなくなってしまった。

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